むしろフルモデルチェンジ──マイナーチェンジを受けた新型レクサスRXに試乗|Lexus
CAR / IMPRESSION
2019年12月2日

むしろフルモデルチェンジ──マイナーチェンジを受けた新型レクサスRXに試乗|Lexus

Lexus RX|レクサスRX

マイナーチェンジを受けた新型レクサスRXに試乗

マイナーチェンジを受け、2019年8月29日に日本発売された、レクサスのラグジュアリーSUV「RX」。エクステリアデザインから走りにいたるまで、大きく進化した同モデルに試乗した。

Text by OGAWA Fumio
Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko

しっかり、かつ、しなやかに

レクサスのベストセラー、レクサス「RX」がさらにいいクルマに進化した。びっくりの改良だ。2019年8月29日に日本発売されたマイナーチェンジ版に乗ったところ、しっかり、かつ、しなやか、という印象である。
現在のレクサスRXは、2015年に発売された4代目で、全長4.8メートルと余裕あるサイズのボディを持つラグジュアリーなSUVだ。日本をはじめ、米国でも中国でも人気が高い。
今回のマイナーチェンジは「むしろフルモデルチェンジ」と、製品企画を担当した中野聡氏をはじめ、開発チームは口を揃える。なにしろシャシーから大きく手を入れられているのだ。
たとえば、ボディにしなりを生み、コーナリング性能の向上に寄与するといわれる接着材の使用が、今回の改良型ではボディで2.3メートル、アンダーボディで1.9メートルも延長されている。同時にスポット溶接の個所は14点増加しているのだ。
「ノイズとバイブレーションを抑えつつ、乗り心地をよくし、運転して楽しいクルマに、といったものが今回の目標でした」。前出の中野氏が語る。足回りでは新しいダンパーをはじめ、ハブベアリングやスタビライザー径などを最適化。つまり今回の開発目標に合わせて見直されている。

SUVを操縦している感覚はほぼ皆無

私が乗ったのは、「RX450h」。3456ccのV型6気筒エンジンに電気モーターを組み合わせたモデルだ。全長4890mmの「RX450h」と、5000mmの3列シート仕様「RX450hL」を試すことができた。ともに全輪駆動である。
一言でいうと、バランスのよさが際立っている。パワーとハンドリングと、そして足回りの動きが、いってみればうまくシンクロしている。コーナリングでの車体の剛性感はたしかに高く、速度が上がっても、サスペンションがうまく動くことで、車体はびしっと安定しているのだ。
じつは、RXは発売当初は、足まわりの設定にいまひとつのところがあった。今回は「モデルチェンジを待たないで、よくすべきところはすぐよくするべきだ」と、トップの号令があったそうである。
当初から印象のよかったレクサス「NX」の主査が今回のRXの改良の指揮をとったとも聞いた。サイズでいうとRXとその下に位置するNXとが、RXの走りがよくなったことで、きれいに一つの線でつながった感じだ。
ボディの振動をより抑え、ノイズをより低減させたのも、マイナーチェンジの特徴だ。路面の状況にかかわらず、ほとんどタイヤノイズが侵入してこないのは驚くばかり。これがレクサスの考える上質性なのだとあらためて感心した。
「F SPORT」はハンドリングをいっそうスポーティにするべく、「しなりや微振動を速やかに吸収する」と謳われるパフォーマンスダンパーを前後サスペンションに採用。加えて、瞬時にロールを抑制する電動アクティブスタビライザーによって、実際に、スポーツカーに乗っている気分でコーナリングが楽しめた。
タウンスピードでは路面の凹凸をうまく吸収して、乗り心地が犠牲になっていない。いっぽうで、コーナーでは高めの速度で入っていっても、SUVを操縦している感覚はほぼ皆無だ。
車体のロールはしっかり抑えられ、かつステアリングフィールは確かで、ドライバーである私が望んだとおりに走っていく。正確でかつ応答性に優れているのだ。乗っていると楽しくて、気分が楽しくなってくるほどである。

スピンドルグリルは少し小ぶりに

マイナーチェンジに合わせて新しい装備も盛り込まれている。2019年のミラノデザインウィークにおけるレクサスのインスタレーション会場でお披露目された技術「ブレードスキャン・アダプティブハイビームシステム(AHS)」だ。
アダプティブハイビームシステムとはヘッドランプのLEDライトを電子制御し、先行車、対向車、それに歩行者らを眩惑しないようにしながら、遠くを照らすハイビーム技術である。
ブレードスキャンは、比較的シンプルな部品構成で、高い効果を狙った点で、注目の技術だ。光源であるLEDからの光を高速で回転するブレードミラーに照射し、そこに反射した光が、レンズを介して高速移動しながら前方を照らすという。
ステアリングコラム右手から生えているウィンカーとライトのコントロールレバーの先端にあるスイッチを操作して、システムを作動させると、たしかに、先行車や対向車にはハイビームが当たらないよう、部分的にカットされる。
スタイリングも、今回のマイナーチェンジの眼目の一つだ。レクサスを特徴づけている「スピンドルグリル」が従来より、ほんのすこし小ぶりになった。
理由は米国にあるそうだ。「30代はオーケイですが、60代以上の従来からのレクサスオーナーのなかには、大きなグリルが威圧感を与えると感じる向きがあるそうだ。
小さめにするとともに、フロントグリルは”吸い込み口”ではないのを伝えるため、造型的にふくらむようにして、しかもグリッツ(グリルのなかの四角い要素)の表面処理によって光を反射するようにしている。
大胆なデザインは万人にウケるものではない。私は個人的に、無難なものより、作り手の思い入れが反映されたデザインの方が好きだ。今後、電気自動車化していっても、バッテリー冷却などで大きなフロントの開口部が必要になると言われているだけに、スピンドルグリルは、さまざまな点で、レクサスに欠かせない要素だろう。
新しくなったRXシリーズのラインナップは、大きく3つで構成される。2リッター4気筒ターボの「RX300」は前輪駆動が513万円から、4WDが540万円から。「RX450h」は627万円からと、654万円からだ。「RX450hL」はAWDのみの設定で796万円だ。
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