ピアジェがウオッチで表現する、アンディ・ウォーホルの美的感覚
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2025年10月21日

ピアジェがウオッチで表現する、アンディ・ウォーホルの美的感覚

PIAGET|ピアジェ アンディ・ウォーホル ウォッチ『コラージュ』リミテッドエディション

ウオッチメゾン・ピアジェとアンディ・ウォーホル美術財団は、ポップアートの巨匠の作品から着想を得た「アンディ・ウォーホル ウォッチ『コラージュ』リミテッドエディション」を発表した。わずか50本のみの限定生産で、まさしく芸術作品といえる1本に仕上がっている。

Text by WASEDA Kosaku

見せるのではなく、示唆する

アンディ・ウォーホルは、1950~60年代のポップアートムーブメントを牽引したビジュアルアーティスト。同時に熱心なコレクターとしても知られ、日常品から美術品まで幅広くコレクションしていたという。
ウオッチも収集の対象となり、生涯で7本のピアジェ製腕時計を購入している。なかでも1973年に入手したクッション型のモデル15102は、とくに有名だ。
彼が1987年に亡くなった際、300本以上のウオッチがコレクションされていたという。
翌年ニューヨークのサザビーズで開催されたオークションで、ピアジェは4本を買い戻し、スイスのプライベートコレクションに収めた。そのなかには、メゾンのクリエイティブ ディレクターであったジャン・クロード・ゲイトがデザインし、1972年から1977年にかけて限定生産された45mmのモデル15102も含まれていた。
このモデルは後に「ブラックタイ」と改名され、2014年のピアジェ140周年を記念して復刻されている。
そして2024年秋、ピアジェはアンディ・ウォーホル美術財団と初めて公式パートナーシップを締結し、この伝説的なウオッチを正式に「アンディ・ウォーホル ウォッチ」と命名。長年語られてきた両者の関係が、正式に結ばれた瞬間だった。
Andy Warhol, Self-Portrait, 1986 © 2025 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts. Inc.
今回発表された「コラージュ」リミテッドエディションは、1986年に撮影されたウォーホルの代表的なポラロイド自画像コラージュから、デザインのインスピレーションを得ている。ピアジェの現クリエイティブ ディレクター、ステファニー・シヴリエールと彼女のチームは、このコラボレーションのために6か月の期間をウォーホル作品の研究に費やしたという。
 
シヴリエールは、「膨大な資料を前に、どこから着手すればよいのかまったくわかりませんでした」と語る。バナナやスープ缶、マリリン・モンローといったウォーホルのさまざまな代表作の中から何を選ぶべきか。チームはニューヨークに赴き、財団のアーカイブを研究し、展覧会を訪れ、多くの書籍を読み込んだ。
 
「ウォーホルを感じさせるものを作りたいけれど、あまり露骨な表現は避けたい。見せるのではなく、示唆することを目指しました」と彼女はいう。財団側も、ピアジェらしい表現豊かで枠にとらわれないスタイルでウォーホルを解釈するよう促したそうだ。
パートナーシップの最初の年、両者はウォーホルの作品に特徴的な「色彩」に重点を置くことで合意した。彼の作品は、マーケティングや広告用に制作された鮮やかで印象的な商業アートの要素を多く取り入れており、その色使いこそがウォーホルの本質を表現する鍵となったのだ。
 
文字盤には、古くから伝わるメティエ・ダールのマルケトリ技法(寄木細工のようなアート手法)が採用されている。ベースには1973年にウォーホル自身が所有していたウオッチと同様にブラックオニキスを使用し、その上にナミビア産のイエロー・サーペンティン、ピンク・オパール、グリーン・クリソプレーズを薄くスライスしたものを丁寧に成形、カット、配置している。
4種類のオーナメンタルストーンが織りなす色彩は、ウォーホルのポラロイドコラージュを想起させるあざやかな構成に仕上げられている。
ケースは段差のある45mmの18Kイエローゴールド製で、これもウォーホルが所有していたモデルへのオマージュとして選ばれた素材だ。これは、本作ならではの仕様となっており、アンディ・ウォーホル ウォッチ コレクションには使用されていない。
 
ケースバックには縦方向のサテン仕上げが施され、文字盤デザインのベースとなったアンディ・ウォーホルの自画像がエングレービングされている。そこにはピアジェのロゴとウォーホルのサインが刻まれており、ピアジェとウォーホルの美意識の融合であることが強調されている。
ムーブメントには、501P1自社製自動巻きキャリバーを採用。このスリムなムーブメントは40時間のパワーリザーブを誇り、サーキュラーパターンのコート・ド・ジュネーブ装飾が施されている。
深みのある落ち着いた色合いのグリーンレザーストラップが、ピンクゴールドのケース、そして色彩あざやかな文字盤の美しさを引き立てながら、調和のとれたカラーパレットを完成させている。
ピアジェは150年以上にわたり、クリエイティブアートから着想を得た数多のウオッチやジュエリーコレクションを展開してきた。繊細かつ捉えどころのない芸術工芸の美しさと、精密な時計製造の輝きを見事に融合したピアジェのデザインは、常に芸術界の目の肥えた顧客を惹きつけてきた。
今回のコラボレーションにおいてピアジェが行ったのは、分かり易いアプローチではなく、丁寧なリサーチと作品への深い理解。本作は、メゾンのアートに対する敬意と愛情、そしてウォーホルの自由で大胆な発想があったからこそ出来上がった希代のタイムピースだ。
ピアジェ アンディ・ウォーホル ウォッチ「コラージュ」リミテッドエディション
ムーブメント|501P1自社製自動巻きムーブメント(コート・ド・ジュネーブ装飾)
ケースバック|ウォーホルの自画像とピアジェロゴ、ウォーホルのサインのエングレービング
パワーリザーブ|40時間
文字盤|ベースはオニキス、ナミビア産のイエロー・サーペンティン、ピンク・オパール、グリーン・クリソプレーズ
ケース素材|18Kイエローゴールド
ケース径|45mm
限定本数|50本
価格|1232万円(税込・予価)
問い合わせ先

ピアジェ オフィシャルサイト
https://www.piaget.jp

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