扱いやすいミドシップ フェラーリ──フェラーリF8トリブートにマラネロで試乗|Ferrari
CAR / NEWS
2019年12月27日

扱いやすいミドシップ フェラーリ──フェラーリF8トリブートにマラネロで試乗|Ferrari

Farrari F8 Tributo|フェラーリF8トリブート

フェラーリF8トリブートにマラネロで試乗

2019年3月のジュネーブモーターショーでデビューした、フェラーリの最新V8ミドシップモデル「F8 トリブート」。モーターアシストのない最後のV8ガソリンエンジンを積んだモデルとも目される同モデルに、マラネロで試乗した。

Text by KUSHIMA Tatsuya

V8ミドシップフェラーリの最終形!?

フェラーリが世界で人気なのはご存じの通り。映画の中でも特別な扱いだし、クラシックカーのオークションでとてつもない落札価格がついたと報じられることもある。どうにもこうにも唯一無二の存在だ。
もちろん、ここ日本でもそうで、人気の高さはそのまま販売台数に結び付く。2018年1年間の台数は767台。これは同価格帯のモデルを有するブランドを遥かに凌ぐ数字だ。
例えば、ランボルギーニ543台、アストンマーティン318台、ベントレー437台というように。マクラーレンは222台しかない。(日本自動車輸入組合調べ)
そんなフェラーリの人気モデルといえば、V8エンジンをミッドに積んだシリーズ。元祖となるのは1975年にリリースされた308GTBだろう。ショートホイールベースのライトウェイトカーのハンドリングが多くの支持を得た。
その最終形とも目されるモデルに試乗した。それがF8トリブート。一説にはモーターアシストのない最後のV8ガソリンエンジンを積んだモデルになるとか。英語のトリビュートをイタリア語にして車名につけるところなど、まさにそんな雰囲気が漂う。「賛辞」とか「贈り物」を意味するネーミングは一つの時代の終わりを告げるのに悪くない選択だ。

488GTBから50psアップしたV8ツインターボ

では、クルマの詳細だが、このクルマの見るべきポイントは3つ。エンジン、エアロダイナミクス、そして軽量化だ。
まずエンジンだが、3.9リッターV8ツンターボという字面はこれまでと変わらない。「488GTB」のテストドライブを思い返しても必要にして十分以上といったところ。だが、F8トリブートはそれをさらにスープアップ。最高出力720cv、最大トルク770Nmを叩き出している。
これは488GTBプラス50psで、ハイパフォーマンスバージョンの488ピスタと同じになる。ピスタがイタリア語でサーキットを意味すると知れば、それが特別なモデルであることはお分かりいただけるであろう。しかもエンジンパーツの50%を新しくした。
とはいえ、実際に試乗して670psと720psの違いはそうそう分かるものではない。今回はマラネロのフェラーリ本社に隣接するフィオラノサーキットでの試乗が用意されていたが、あいにくのウェットコンディションでそれほど踏むことはできなかった。
それでも、吹け上がりのスムースさは感じられた。これはターボラグを限りなくゼロに近づけるという開発陣の心意気と技で、V8ターボの中ではダントツの気持ちよさである。この辺のこだわりはまさにフェラーリらしいと言える部分だ。

快適性と扱いやすさが印象的

エアロダイナミクスは、ボディサイドのデザインもそうだし、アンダーボディ、リアスポイラーなどで数値を高めている。工場敷地内に風洞実験施設を持つ強みもあるだろう。というか、フェラーリがレーシングコンストラクターであることを鑑みれば、こうしたエアロダイナミクスへの取り組みは常識の範疇なのかもしれない。
軽量化では、車両重量が488GTBの1475kgに対し40kg減量の1435kgとした。要因は素材の見直し。エンジンパーツにはチタニウムも使っている……。
なんて話を続けると、フェラーリの場合、本が一冊書き上がるくらいの文字スペースが必要になる。なので、これ以上の詳細は省くが、乗った印象はとにかくスムースで扱いやすい。
マラネロの街中にはバンプストップがいたるところにあり走りにくい環境を作っているが、それでも乗り心地は良く、快適だった。それにすれ違いに戸惑うことも皆無。「扱いやすいフェラーリ」はFRフェラーリのセールストークだが、今回はミッドシップにも言えそうだ。
それと付け加えたいのがウェットモードの信頼性の高さ。フェラーリのドライブモード“マネッティーノ”をウェットモードにしてフィオラノサーキットを走ったが、制御のなめらかさと精度は思いのほか高かった。アンダーステアもオーバーステアも見事にコントロールする。これが体験できたのはある意味不幸中の幸いかも知れない。だってそうでしょ。雨のサーキットをフェラーリで走るなんて経験、逆に少なそうですから。
というのが、今回のファーストインプレッション。やはりフェラーリはいつどこで運転しても楽しい。まぁ、個人的にはV8自然吸気エンジンも“トリブート ”してもらいたい、ですがね。
問い合わせ先

フェラーリ
http://auto.ferrari.com/ja_JP

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