CAR /
IMPRESSION
2020年12月22日
ジープ電動化の嚆矢たるレネゲード 4×e に試乗|Jeep®
Jeep® Renegade 4×e|ジープ レネゲード フォーバイイー
ハイブリッド化されたジープ レネゲード 4×e に試乗
前輪をエンジンとモーターで、後輪をモーターのみで駆動するユニークな 4WDシステムが与えられたジープの電動化モデル「レネゲード 4×e」にモータージャーナリストの小川フミオ氏が試乗した。
Text by OGAWA Fumio|Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko
「LIMITED 4×e」「TRAILHAWK 4×e」の2タイプをラインアップ
ジープがついに電動化。その嚆矢たるプラグインハイブリッド「レネゲード4×e」が2020年11月に日本でも登場した。4×eは「フォーバイイー」と読む。ユニークなのは、前輪はハイブリッドで駆動し、後輪は電気モーターのみで、というシステムだ。
レネゲードは、本格的なクロカン4WDのジープ・ラングラーをどこか彷彿させる、ちょっとゴツい感じと、都会的な雰囲気をうまく合わせたモデルだ。実際に人気は高く、欧州ではミラノやパリでよく見かけるし、日本でも多様なジープのラインナップ中3割を占める売り上げを誇っている。
全長4255mmで、全高1695mm(TRAILHAWKは1725mm)。コンパクトサイズのSUVに興味がある人には、とりわけ向いている。デザインも上手で、丸型ヘッドランプにセブンスロットグリルというジープの伝統的なモチーフを活かしたフロントマスクは雰囲気があるし、堅牢性とスタイリッシュさのバランスがとられたボディは、都会にもよく似合うと思う。
日本では従来からの1.3リッターターボエンジンの「LONGITUDE」「LIMITED」「TRAILHAWK」の3グレードに、「LIMITED 4×e」と「TRAILHAWK 4×e」として追加された。
前輪用が、1.3リッターターボエンジンにモーターの組み合わせ。270Nm/1850rpmのエンジントルクに加え、モーターが50Nmのトルクを積み増す。後輪は250Nmと比較的太いトルクのモーターで駆動される。
前後のパワートレインは物理的にはつながっていなくて(従来の4WDシステムとは違い)、コンピューターが制御する。ちなみに3つのモードを装備。「エレクトリック」はバッテリーの限界まで電気走行をする。「ハイブリッド」はモーター中心でありつつ必要に応じてエンジンを始動させるモード。そして「Eセーブ」はエンジンを使って充電を行う。
「LIMITED 4×e」と「TRAILHAWK 4×e」とではエンジン出力が異なる。前者は96kW(131ps)で、対する後者は132kW(179ps)だ。最大トルクは不変。エンジン車に準じたスペックスである。ちなみに前後2基のモーターの出力とトルクも不変だ。
オンロードでのスムーズな運転感覚が魅力
「JEEPはこれからの3年間で電動化する」(JEEPブランドのグローバル社長を務めるクリスチャン・ムニエ氏)という。最大の理由は、世界の主要市場での燃費規制をクリアするため。
すべてのモデルが電動化されるというほど気合いが入っている。ユーザーのメリットは燃費だ。今回のレネゲード4×eはバッテリーだけで最長48kmの走行が可能で、かつ、燃費はリッターあたり17.3km(LIMITED 4×e)と16km(TRAILHAWK 4×e)とされる。
もうひとつ、電動化のメリットとしてムニエ氏が強調するのが、性能向上。4×eでは、モーターの出力制御がやりやすいとのことで、それがオフロード性能の向上につながっているという。
従来のモデルでは、132kW(179ps)のパワフルな「TRAILHAWK」のみ4WDだったのに対して、今回のモデルはともに4WD。電動モーターをうまく使い、従来にはなかった駆動システムを、これからのJEEP車の特徴にしていきたいのだろう。
一般道で乗ると、燃費とオフロード性能(試していないが)に加え、もうひとつの魅力を感じた。ひとことでいって、スムーズな運転感覚だ。モーターが力強い加速を味わわせてくれる。
ハイブリッドモードにしてもエレクトリックモードにしても、可能な限りモーターによる後輪駆動で走る。アクセラレーターの踏みこみに素直に反応して、ほぼ無音でぐいぐいと力を出すのだ。電動化により重量が300kg近く増加している事実は、まったく感じさせない。
燃費がいいので、このクルマでスキーなどにも行きたくなるだろう。こんなご時世だけれど、状況が許せば、どんどん遠出をしたくなる。「改良型」を謳う4WDのモード切り換えがあり、「4WDロック」「4WDロー」「ヒルデセントコントロール」が選べる。
同時に、エンジン出力などを制御するドライブモードを「オート」「スノー」「マッド&サンド」「ロック」と切り替えられる。つまり万能選手である。そして今回は「スポーツ」が新設された。これはエンジンの回転をやや高めに維持することで、きびきびとした操縦が楽しめる。
乗り心地は快適だ。高速道路などではフラットな姿勢を維持するいっぽう、ほとんどショックを感じない道路の段差越えなどに、オフロード車としての可能性を感じるのだった。
価格は、「LIMITED 4×e」が498万円、「TRAILHAWK 4×e」が503万円である。前者にはアダプティブクルーズコントロールをはじめ、レザーシートやヒーテッドステアリングホイールなど快適装備もおごられている。
問い合わせ先
ジープフリーコール
Tel.0120-712-812(9:00-21:00無休)
https://www.jeep-japan.com/