CAR /
IMPRESSION
2021年2月25日
フォルクスワーゲンのコンパクトSUV「T-Cross」に試乗|Volkswagen
Volkswagen T-Cross|フォルクスワーゲン ティークロス
フォルクスワーゲンのコンパクトSUV「T-Cross」に試乗
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは、2021年内に発売を予定している新型ゴルフの先行受注を開始するとともに、ティザーサイトも公開された。3月31日(水)までに早期予約した人にはオプション費用をサポートするキャンペーンも展開される。
Text by OGAWA Fumio | Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko
奇をてらうことなく個性を演出した独自のスタイルが魅力
市街地で使いやすくて、クオリティ感の高いSUVが欲しいなら、フォルクスワーゲンT-Cross(ティークロス)という手がある。2019年初頭に日本で発売され、全長4.1メートルのコンパクトさがウケているようだ。走りは1リッターとは思えないほど力強い。
T-Crossがいいのは、独自のスタイルがあるところだと思う。フォルクスワーゲンの傑作コンパクトハッチバック「ポロ」の車体を上にひっぱって伸ばしたような全高1.58メールのボディは、ランプまわりの造型に凝っているし、ツートーンの塗り分けを使ったカラースキームも楽しい。
とりわけ「デザインパッケージ」という仕様は、アウトサイドミラーやホイールまで塗り分けが施されている。かつ、インテリアもダッシュボードやシート生地にいたるまで、フォルクスワーゲン デザインのカラーリスト(色を決めるデザイナー)が丁寧な仕事をしている。
ほかの自動車メーカーのなかにも、スタイリングでとにかく個性を出そうとしているところがある。それでも、奇をてらうことなく、それでいて、雰囲気をうまく作ることにかけては、T-Crossは現在のところトップランナーだと思う。マーケットの嗜好にもぴったり合っている感じだ。
コンパクトサイズのライフスタイルカーとして高い機能性
エンジンは999ccの3気筒ガソリン。7段ツインクラッチ式ギアボックス(DSG)を搭載した前輪駆動のみが日本に輸入される。余談めくけれど、かつてマニュアル変速機仕様を海外で試乗したとき、印象ではDSGでいいと思った。
最高出力は85kW(116ps)で、最大トルクは200Nm。さすがにとてもパワフルという印象ではないけれど、車重1270kgのこのクルマには十分。ただし遮音はやや足りなくて、車内にはエンジンルームからいろいろな音が入ってくる。
コーナリングを楽しむというより、市街地で、コンパクトなサイズとあいまって、がんがん走り回れるのが、T-Crossのいいところ。それでも驚いたのは、足まわりの設定の良さ。ふだん乗りではやや硬めの印象であるものの、不整路面を走ったとき、サスペンションはしっかり伸びて、路面の凹凸をきれいに吸収。ドライバ−の姿勢が乱れない。フォルクスワーゲンの足まわり担当のエンジニアの仕事ぶりに感心させられた。
グラウンドクリアランスは180mmと、クロスオーバーSUVのなかでは余裕がある。なので、前輪駆動システムでいける荒れ地、たとえば森のなかの別荘地などへのアクセスはけっこうよさそう。
リアシートは前後に14cm、スライドする機構を備えているので、2人でなら、かなりの荷物が搭載できる。このあたりを含めて、コンパクトサイズのライフスタイルカーとしての機能性を評価したい。
装備変更の実施でコネクタビリティが向上
20年12月には装備の変更が実施された。対象は導入特別仕様車として登場の「T-Cross TSI 1st」と「T-Cross TSI 1st Plus」。デジタルメータークラスター「Active Info Display」が追加されたのだ。ナビゲーションのモニターも速度計と回転計のあいだに表示されるので、目線の移動が少ないことが謳われる。
上記の2モデルには、8インチモニターを持つナビゲーションシステム「Discover Media」も用意される。オンラインでの地図更新ができるのが、大きな特徴だ。
さらに、eSIM内蔵の通信モジュールで常に“コネクティッド”状態が維持されるオンラインサービスの「We Connect」も搭載。スマートデバイスと連動しており、車両のドアやトランクの開錠と施錠や、車両が故障したとき、ロードサイドアシスタンスのコールセンターに位置情報などを自動通知するなど、利便性が高まっている。
「T-Cross TSI 1st」と「T-Cross TSI 1st Plus」には、先行車を完全停止状態まで自動追従するアダプティブクルーズコントロール、駐車支援システム、プリクラッシュブレーキシステム、車両後方の死角を監視するブラインドスポット ディテクションなどが装備される。
「T-Cross TSI 1st」は301万9000円。レーンキープアシストをはじめ、ハイビームアシスト、パドルシフト、インテリアアンビエントライト、215/45R18サイズ(TSI 1stは205/60R16)のタイヤを備えた「T-Cross TSI 1st Plus」は337万9000円となる。
問い合わせ先
フォルクスワーゲン カスタマーセンター
Tel.0120-993-199
https://www.volkswagen.co.jp/ja.html