スマート fortwo ターボに試乗|smart
CAR / IMPRESSION
2016年11月23日

スマート fortwo ターボに試乗|smart


smart fourtwo turbo|スマート フォーツー ターボ


1台だけで楽しいクルマライフが送れる


2015年にフルモデルチェンジを受けたスマート「fortwo」に、「forfour」と同様、ターボモデルが追加された。最高出力が14kW(19ps)、最大はトルク44Nmの向上を果たした同モデルの真価とは。

Text by OGAWA FumioPhotographs by KAWANO Atsuki




ターボモデルの特徴を打ち出すためのボディ構成


「メルセデス生まれのシティコンパクト」を標榜する「スマート」。2015年に発表された新型にターボモデルが加わり、2016年に8月に日本でも発売された。スマートのパワートレインは0.9リッター3気筒で、ターボが装着されることで一気ににパワフルになった印象が強い。


「スマート フォーツー」は“二人のために”という車名が表すとおり2人乗りで、全長はわずか2,755mmしかない。今回のターボ化でエンジンの最高主力は66kW(90ps)、最大トルクは135Nmに。従来のノンターボモデルと比較すると、最高出力が14kW(19ps)、最大トルクが44Nmも上がっている。



Smart fortwo cabrio turbo limited|スマート フォーツー カブリオ リミテッド

全長2755mm、ホイールベースは1875mm


Smart fortwo cabrio turbo limited|スマート フォーツー カブリオ リミテッド

全高1545mmで室内のヘッドルームも確保されている



ターボモデルの特徴をより強く打ち出すためか、発売されたモデルは従来のノンターボモデルと車型でも差別化されている。一つは「スマート フォーツー カブリオ ターボリミテッド」(248万円)といい、電動ソフトトップを備える。もう一つは「スマート フォーツー ターボ マットリミテッド」(241万円)。固定式のルーフにパノラミックルーフと呼ばれる半透明ガラスを組み合わせており、車体色がホワイト系とブラック系のマットカラーであるところに特徴を持つ。


スマートは(オウプナーズの読者の方なら先刻ご承知のとおり)エンジンを後車軸より後ろに搭載して後輪を駆動するユニークなレイアウトを採用する。このコンセプトは1998年の初代より継承されている。一時はコンパクトなスポーティクーペもあったが、最新のラインナップはよりシンプルで、2ドアのクーペとカブリオレ、そして4ドアのフォーフォーだ。フォーツーのターボ版、試乗しての実力はかなりのものだった。






smart fourtwo turbo|スマート フォーツー ターボ


1台だけで楽しいクルマライフが送れる (2)




完成度の高さが印象的


スマート フォーツー カブリオ ターボリミテッドに乗っての印象を一言でいうと、完成度の高さだ。新型フォーツーはそもそもまったく悪くない出来だった。リアエンジンだが高速でステアリングホイールが軽くなることもないし、ホイールベースが1,875mmしかないのに乗り心地も快適といっていいレベルである。リアサスペンションがやや硬めだけれど、車体の動きはフラット感が強く、落ち着いている。室内騒音だってちゃんと音楽が楽しめるぐらい低く抑えられているのだ。


ターボチャージャーを装着したフォーツー カブリオ ターボは、追い越しなど中間加速でもっとパワーが欲しいというユーザーの声を意識したモデルだろうか。最大トルクを2,500rpmで発生するなど実用的で、上り坂で息切れすることもない。アクセルペダルを少々強めに踏み込めば鋭い瞬発力である。



Smart fortwo cabrio turbo limited|スマート フォーツー カブリオ リミテッド

2段階目でリアウィンドウまでおりたたまれる


Smart fortwo cabrio turbo limited|スマート フォーツー カブリオ リミテッド

ホイールのリム径は15インチ



ステアリングホイールは操舵力がかなり軽めなのが特徴だが、たよりない感じはいっさいない。路面とのコンタクトが予想以上に良好で、タイヤがどこを向いているかの舵角がきちんとわかるので、速度を上げていっても不安感はいっさいない。個人的にはこの軽い操舵感がとても気に入っていて、ターボ化されても自然吸気エンジン版と同様の感覚だったので嬉しくなったのである。


シートの座り心地をはじめ、室内もていねいに作られていて、フルオープンで走っていると、最高のパーソナルモビリティだと思えてくる。価格的にはライバルになりうる日本の軽自動車もよく出来ているし、最近はスズキやホンダなどスタイリング的にキュートなものが多くなっている。けれど、作りのよさやディテールの完成度の高さはスマートが格段に上をいっている。






smart fourtwo turbo|スマート フォーツー ターボ


1台だけで楽しいクルマライフが送れる (3)




まるでフルオープン感覚のカブリオレ


スマートはライフスタイル ビークルという側面もあるため、利便性のみならず快適性やファッション性も重視している(ようだ)。先代にも設定されていたカブリオはその好例だ。機能一点主義のものづくりでは思いもよらないコンセプトだろう。そこがスマートの大きな魅力になっている。


走行速度に関係なく開閉可能なソフトトップは電動スイッチでキャンバスルーフがするするっとごく短時間で開く。ポルシェでいえばタルガの感覚である。2段階式なので頭上だけ開けることもできるし、リアウィンドウの部分まで格納することも可能だ。オープン感はさらに強くなる。よりオープン感が欲しいときは、乗る前にドアの上のビームを外すといい。サイドウィンドウを下げれば、視覚をさえぎるものがほとんどなくなり、まるでフルオープンの感覚だ。



Smart fortwo cabrio turbo limited|スマート フォーツー カブリオ リミテッド

インテリアの意匠はシンプルだがセンスのよさを感じさせる


Smart fortwo cabrio turbo limited|スマート フォーツー カブリオ リミテッド

シートはソフトなクッションで座り心地がよい



2016年8月導入時の外板色は4色。ラリーレッド、イエロー、クリスタルホワイト、ディープブラック。トリディオン セーフティ セルと呼ばれる構造材の構造を活かしたフレーム部分は色違いの組み合わせとするのがスマートのカラースキームで、今回上記4色にはシルバーの組み合わせである。ソフトトップの色は外板色に応じてブラックとレッドとが用意されている。内装はブラックの本革。要するになかなかシャレている。フォーツー1台だけで楽しいクルマライフが送れるのだ。


安全装備はブレーキの踏力をサポートするブレーキアシスト、坂道発進をやりやすくするためブレーキ圧を自動で保持するヒル スタート アシスト、ブレーキをコントロールして車両の姿勢を安定化するESPなどが標準装備される。さらにブレーキを自動で制御して横風に進路を乱されるのを防ぐクロス ウィンド アシストはまさにスマートにぴったりの装備と評価したい。こういう完成度のいコンパクトカーが出てくるのは、モビリティに対する意識の高さだと感心する。




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Smart fortwo cabrio turbo limited|スマート フォーツー カブリオ リミテッド
ボディサイズ|全長 2,755 × 全幅 1,665 × 全高 1,540 mm
ホイールベース|1,875 mm
トレッド前/後|1,470 / 1,430 mm
最小回転半径|3.3 メートル
エンジン|897cc DOHC直列3気筒ターボ
最高出力|66 kW(90 ps)/5,500 rpm
最大トルク|135 Nm(13.8 kgm)/2,500 rpm
トランスミッション|6段DCT
駆動方式|RR
ブレーキ前|ディスク
ブレーキ後|ドラム
タイヤ前/後|165/65R15 / 185/60R15
JC08モード燃費|22.0 km/ℓ
ステアリング|右
販売台数|4色各50台、計200台
価格|248万円


Smart fortwo turbo matt limited|スマート フォーツー ターボ マット リミテッド
ボディサイズ|全長 2,760 × 全幅 1,665 × 全高 1,545 mm
ホイールベース|1,875 mm
トレッド前/後|1,450 / 1,435 mm
最小回転半径|3.3 メートル
エンジン|897cc DOHC直列3気筒ターボ
最高出力|66 kW(90 ps)/5,500 rpm
最大トルク|135 Nm(13.8 kgm)/2,500 rpm
トランスミッション|6段DCT
駆動方式|RR
ブレーキ前|ディスク
ブレーキ後|ドラム
タイヤ前/後|185/50R16 / 205/45R16
JC08モード燃費|23.1 km/ℓ
ステアリング|右
販売台数|2色各40台、80台
価格|241万円




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