BEAUTY /
THE EXPERTS
2015年1月26日
連載・藤原美智子|2010年10月エッセイ「自然遊びがマイブーム」
「自然遊びがマイブーム」 (1)
最近、自然のなかで遊ぶことが多くなった。静岡 下田市の海辺に週末の家を構えたことが発端なので、海はもちろんのこと、今年の夏は川辺でピクニックをするというのが我が家のお気に入りの遊びだった。それというのも夫がフライフィッシングをするようになり、よく釣りをする川の近くにピクニック用のテーブルやイスを広げたり涼んだりするのにピッタリの場所を見つけたからだ。
文・写真=藤原美智子
気分を盛り上げるために欠かせない小道具
ピクニックに行く日の朝は大忙しである。なにしろ“かたちから入る”のがわが家流なので、用意をするものがたくさんあるのだ。まずはオープンサンドイッチ用の具材の野菜やチーズ、ピクルス、カリカリに焼いたベーコンや目玉焼き、デザート用の果物をそれぞれタッパーに詰め込み(ときには夏野菜たっぷりのラタトゥイユも)、粒マスタードやケチャップ、マヨネーズ、ウスターソース、塩、こしょうなどを専用のかごにセット。トーストにしたパンはバターを塗って布ナプキンで包み、そして結構な重さになるのは覚悟のうえで、グラスやお皿、カトラリーなどは紙やプラスティックではなく家で使っているものを持っていく。テーブルや人数分のイス、それにテーブルクロスも忘れてはならない。なにしろ、それをテーブルにサーッとかけるだけで、一緒に行った皆から「おー!」という感嘆の声が出るのだ。気分を盛り上げるためには欠かせない小道具なのである。ほかには、バトミントン道具や草の上に寝転ぶためのラグも必需品だ。川辺に着いたら、それらをセッティングする。そして各々が好きなものを好きなように具材をトーストの上にトッピングしながら食べるという寸法だ。
食後は、男子たちは釣りに。女子たちは脚がパイプ製の折りたたみのイスを川のなかに持ちこんで足を冷やしながらオシャベリしたり本を読んだり、あるいはバトミントンをしたり昼寝をしたりなどなど。自然のなかにいると、それこそ自然にノンビリと時を過ごしたくなる。川の流れの音や鳥の声、風の気持ちよさなど自然の恩恵に身を任せたくなる。すると、大きく伸びをしたように身体も気持ちもフワーッと緩んでくる。アクセクと気忙しく過ごしている日々がリセットされる──。これが、私が“川辺のピクニック”を気に入った理由なのかもしれない。もちろん自然のなかで、皆で食べるランチ(ビールや白ワインも!)が最高においしいことも!
はじめてのことを体験すると体中の細胞が活発になる!
さて、これからの季節は山登りだ。最近、“山女(やまじょ)”ブームだが、私も昨年、ご多分にもれずデビューをした。登ったのは、下田にある寝姿山や長九朗山など登りやすい高さの山なのだが、どちらも途中で登山コースをまちがえてしまい少し冷や汗をかいてしまった。おもしろい体験ではあったのだが、どんなに簡単そうな山でも自然を軽んじてはダメ、油断は禁物という山登りの鉄則を、はじめたそうそうに体験することとなった。
そんな山登り初心者の私だが、もちろん格好はいっぱしの登山家ふうだ。なにしろ専門店でウェアや靴、小物にいたるまで“あーでもない、こーでもない”と時間をかけて選んだのだから。でも時間がかかった本当の理由は、いつもの洋服選びとは少しちがう観点でモノを選ばなければならなかったから。たとえば、“これぐらい鮮やかな色のウェアのほうが山のなかで目立って、なにかあったときに見つけてもらいやすいだろうな”’と、いままで着たことのない色を選んだり、“インナーは軽くてあたたかいフリース素材のものにしよう”と着たことのない素材を選んだり。ただ“かわいい!”だけではなく、安全や機能の面も考慮しなければならない。当たり前のことなのかもしれないが、初心者の私にしてみれば「ほー、こういうものが適しているのか」と知らなかったことも多くて、久々、モノ選びが新鮮で楽しかったし、得をした気にもなった。なぜなら、私ははじめてのことを体験すると体中の細胞が活発になると信じているからである。