カキツバタの「め」 第一回
第一回「Gelman's Master pieces 山中漆と九谷焼」
東京・中目黒にあるインテリアショップ「燕子花」による新連載【カキツバタの「め」】。
今回は燕子花・別館にて開催中の「Gelman's Master pieces 山中漆と九谷焼」を紹介します。
世界的なアーティスト、アレクサンダー・ゲルマンと日本の伝統工芸が織りなす、珠玉のコラボレーションとは?
文=白水由紀子(燕子花)
アレクサンダー・ゲルマン氏は、数かずのクリエイティブ活動で知られる世界的なアーティストです。近年は日本のものづくり、伝統工芸にも着目し、『KIE』(家庭画報インターナショナル)にてクリエイティブディレクターを務め、日本の工芸がもつ技を極めたモノづくりにも強い関心を寄せています。
ある日、ゲルマン氏が石川県を訪ねたことが今回のプロジェクトの発端でした。石川県山中漆器職人たちとの邂逅。そしてお互いの妥協なき創造性に惹かれ、モノづくりがはじまります。
テーマは知性の代名詞とも言われる「チェスセット」。さらに同じく伝統工芸である九谷焼を代表するふたりの絵師もくわわり、宝石のように美しいチェスセットが完成しました。
ゲルマン氏は山中漆器職人たちを「同志」と呼び、山中漆器職人たちはゲルマン氏のデザインについて「彼のデザインは、見事に山中漆器の技法にかなっていることに気づいたとき、心底、参った、と思った」と述べています。完成にいたるまでさまざまなストーリーをもち、国境を越えた妥協ないクリエイティビティは、輝きにあふれています。
目に美しく、手になじむ触り心地を日本の「用の美=漆」が、世界中の人びとが興じる「チェス=用の美」に昇華されたことは、まさに「過去と未来の橋渡し」(ゲルマン氏)につながるといえるでしょう。
Gelman’s Masterpieces
山中漆と九谷焼
会期|2009年1月14日(水)~2月1日(日)
場所|燕子花別館
東京都目黒区青葉台 2-16-7
開館|13:00~19:00
閉館|月・火曜
Tel. 03-3770-3401
www.kakitsubataweb.jp



















